これまでのコラムでは、交際や恋愛をしていく中で、相手と仲を深めるタイミングをどう把握していけば良いのかについて話してきました。
これまで話してきた事を適切に実践していけば、適切なタイミングで相手と出会う事ができたり、あるいは良くないタイミングで相手に結婚の決断を強要するといった事は避けられると思います。
恋愛を成功させるためには、タイミングや時期といった要素に加え、自分が住んでいる環境、制度、社会、その中での価値観についての知識や意識も重要な鍵となります。これは三大成功要因の中の地理的な要素です。
オーストラリアは、アジア諸国とはまた異なる社会環境、法制度、伝統、価値観を持っています。例えば、オーストラリアはどの大学を卒業したかという意味での学歴を重視する国ではありません。社会や家庭では、大学に通っていない人間を差別しないだけでなく、就職やビジネス、専門学校での教育等の進路を多く提供しています。社会システム全体が、人々の様々な才能や可能性を自由に伸ばしていくことを奨励しています。
オーストラリア社会では、大学に行かずとも成功した人たちをよく見かけますが、彼らは頭が良く勉強熱心で大胆、そして鋭い視点などの良い資質を持っており、それに加え、大学にいかずとも自学自習をしたり、多くの本を読んだりして、その分野で最高の人になっているのです。 オーストラリアの元首相であるポール・キーティング氏がその代表例でしょう。大学には行かなかったものの、政治家として成功しただけでなく、強い教養を持ち音楽や芸術にも精通していました。
大学進学に関しても、オーストラリアの社会は、いつ入学するか、どの科目を履修するかなどの自由度が高く、各々が自分に合わせて選択できるようになっています。高校卒業後すぐに大学に直行するのではなく、中学や高校を卒業した後まず社会人になり、その数年後に大学に行き理論を深めていく人も多いです。 キャリアのために大学に戻って教育を受ける人もいれば、自分の興味を追求するために学びにくる人もいます。このような理由から、オーストラリアの大学では幅広い年齢層の生徒を見る事ができます。
教育の他に、オーストラリア社会のもう一つの特徴はその平等性にあります。 欧米諸国に比べて、オーストラリア社会はヒエラルキーの概念が薄く、国民の虚栄心や見栄といったものがあまりありません。私の知り合いには、ウェストフィールド・ショッピングセンターのオーナーをしている方がいます。 彼が普段乗っている車は30年前のフォードで、ハイブランドの高級な服や時計などを身に着けている所をあまり見かけません。
週末になると、非常にカジュアルな格好をした男女をよく見かけますが、見た目からは分からなくともエリートだったり、富裕層だったりする事も多いです。オーストラリアでは見た目で人を判断するのは当てになりません。
また、多くのアジア人女性はオーストラリアの離婚率の高さに不安を抱いているようです。 しかし、オーストラリアの社会を十分に知っていけば、離婚した女性への援助や法的保護が多い事、離婚における女性の金銭的損失があまり大きくないことがわかります。事実、オーストラリアの離婚の約8割のケースは女性が発端となっています。
これらの社会システムや法制度は、結婚相手を選択する際にも大きな要素となります。これらを理解することで、機会を判断し、意識を適切に変えていけるようになります。 例えば、オーストラリアの教育制度を理解することで、その人の知性や将来のキャリアの見通しを学歴や大学名だけで判断する事がなくなります。そして代わりに、相手の人生経験や状況に対応する能力、出来事に対する反応や感受性などを見るようになります。
他にも、車や着ている服で経済的地位を判断しなくなります。 お金持ちは必ずしも高級品やブランドが好きなわけではなく、目立つのが嫌な人もいます。仮に高級車に乗っている人だとしても、まだ車のローンの支払いが残っている事もあります。
オーストラリアの社会システムや環境を理解することにより、探している相手に自分が何を求めているのかをより深く知ることができ、迷いが減ります。
しかし、社会や文化、新しい価値観を理解するには継続的な積み重ねが必要になります。新聞を読んだりテレビのローカル報道を視聴したり、現地の人との交流を通して学び、理解していきましょう。時間が経てばやがて同じレベルで好きな人とコミュニケーションができるようになるはずです。
こうした意見に多くの人は同意を示しますが、社会を理解するために継続的な積み重ねるのは時間がかかるため、出遅れてしまうとも感じるようです。
そうしたことに時間をかける事に意味はないと思ったり、あるいは恋愛や縁は運なのでそうした知識は全く必要ないと考える人もいます。こうした考えの人と、積極的にその国の社会や価値観を学び理解しようとしている人の最大の違いは「受動的にしか上達しない」事です。積極的に理解を深めようとしている人は自らどんどん学びを深めにいきますが、そうでない人は受け身になるため、同じ学習にもより長い時間を費やす事になります。受動的な方の多くもまた恋愛での成功を望みますが、その場合多くの複雑さと長い道のりを辿る事になるでしょう。
オーストラリア社会全体が自分達に合わせてくれることや、自分達を中心に回る事はありません。なので自らが積極的に学習し理解を高め、適応できるように調整していきましょう。
Add Comment