後天的に獲得した性格

前回までのコラムでは4つの補完関係になるそれぞれの性格の特徴と、恋愛関係の中でその性格がどう表れるのかについて話しました。

人の性格は多種多様にわたるため、人ごとの性格の違いを理解するには、その人の性格への深い理解が必要になってきます。
人は皆性格に多面性があり、多様な性格が組み合わさって人格を形成しています。表に分かりやすく出た一目で分かる性格もあれば、時間が経ってようやくあらわになるような、深く埋もれている性格もあります。そのため、第一印象だけで相手を判断する事は相手を見誤るだけでなく、そこから見誤った判断に基づいて行動する事に繋がり、それ故自分の意図に反した結果を招いてしまう事も多くあります。

国によっては多くの人が星座や干支などの占い的な要素を利用して相手との相性を図ったり、交際相手を選ぶ基準に用いたりします。占星術はある程度まで人の性格を当てる事ができるとも言いますが、そのほとんどは占い的な要素によるものでなく、その人本来の生まれついた性格によるものです。
先天的な性格は赤ちゃんとして生まれた時から存在しており、乳児期の時からそのいくらかを認識する事ができます。

例えば、“楽天主義”傾向のある赤ちゃんよく笑ったり手足を動かして喜びを表す事が多かったり、“リーダー型”の傾向を持った幼児は気性が荒かったりします。“完璧主義”傾向のある子は真面目で、“従順型”傾向のある子はよく食べさせ、きちんと睡眠を取らせれば大人しく過ごしてくれます。このように、先天的な性格はある程度見分けがつきやすく、それゆえ何百万何千万といった人が同じタイプに分類されていきます。

しかし、人は成長していく中で家庭環境や文化、社会、様々な経験などから影響を受け、一人一人が“補助的な性格”を後天的に発達させていきます。
後天的に発達した補助的な性格は、深い部分に埋まっている事もあり、こうして発達した性格を1つのタイプにまとめて、一概に括るのは困難です。人それぞれが人生で異なる経験をしているため、それによって形成される補助的な性格も人により全く違ったものになり、それ故、干支や星座のような括りで広く深く個人の性格を網羅するのは難しいのです。
社会、環境、人生経験、家庭の違いによって、個人の性格は構築されていき、人前にハッキリ表れる性格もあれば、そうでないものもあり、時には後天的な性格が先天的なものと相反する事もあります。

例えば元々“楽天主義”タイプの人が、些細な不注意から仕事やビジネスチャンスを失うようなミスをしたり、そのストレートさ故に友人や恋人を怒らせたりします。しかし、そのミスから学ぶ事もあり、そこから意図的に敏感になる事で、人と接する時にちゃんと相手の表情や会話に気を配るようになって、大事な予定や出来事を書き留めて記録し、忘れないようになる事もあります。
こうした気配りや行動、考え方が時間の経過と共にその人の中で習慣になっていくと、その人の周りの友人にも明確にその変化は感じられます。一見ズボラに見えても実はとても細心になっており、“楽天主義”な性格だとはもう回りから思われなくなります。

もう一つの例としては、“従順タイプ”はゆっくりと自分のペースで物事を行う事を好み、先延ばし癖があり、あまり目標を設定したがりません。しかし、人生の中が思った通りに進まず、突如そうした性格を変えざるを得ない状況に追い込まれることもあります。
例えば、家族を養う責任を負わなければいけない時や、他人を指導し導かねばならない立場に追い込まれた時などは、もう先延ばしは許されず、本人が望もうが望むまいが前に進まなければいけません。実際、数多い成功者の中にも従順タイプの方をちらほらと見かけます。他タイプとの違いとして、仕事には十二分の情熱を持って挑んでいますが、社会的な場では非常に穏やかであり、何ならだらっとした印象を与えてくる事すらあります。

また、“リーダー”タイプの性格を持った人は元々自信に満ちており、目標を持ち、挑戦を厭わない勇敢さがありますが、交流していると時折支配的に見える事があります。しかし、強い教養と礼儀正しさを持った両親や、知的な家庭に育ったリーダータイプは、自信を持っている事に加え、相手への尊重や礼儀を欠かさないために彼ら自身の持つリーダーシップが不快に感じられる事はありません。
逆に、喧嘩や争いが絶えない家庭で育ったリーダータイプは、無礼で攻撃的に感じられる事が多いために、付き合っていると抑圧や憂鬱さを抱えてしまいます。

また、長い間成功を重ねてきたリーダータイプの中には、人とのやり取りの中でも相手に攻撃的にならず穏やかに構える人もいますが、成功したばかりのリーダータイプは耐えがたい傲慢さや勝手さを見せる事があるため、周りにいると非常にストレスを感じてしまいます。

結論として、人はその育ちや人生経験により、先天的な性格に加えて後天的に発達した補助的な性格、あるいは第二の人格と言っても良いものをそれぞれが持っています。この補助的な性格は恋愛に対しても大きな影響を持っているため、それ故に星座や干支などの占いや第一印象に頼ってしまう人は恋愛の中でちょくちょく悪手となる判断をしてしまうのです。

Add Comment