性格の多様性

前回のコラムでお話しした「人」の成功要因の鍵の一つは、社会や文化、性別などの要素によってそのコミュニティの人々の中で形成されていく共通性、共通点を理解することです。この共通性には人や物についての考え方、習慣、興味や判断などがあります。

恋人と付き合う上でも、こうした相手の共通性を理解する事でより積極的にコミュニケーションを取れるようになります。相手の判断や恋愛関係の進展具合もより正確に把握でき、相手を誤解したり、逆に相手に誤解されたりする状況も回避しやすくなります。

共通性を理解するだけでなく、相手の性格を理解することも仲を深めていく上で外せない鍵です。

社会的・文化的環境に関わらず、生まれてから成長するまでの経験は人それぞれで、その経験により人はその人特有の考えや思想、物事を判断する価値観を形成しています。これを私達は性格と呼んでいます。相手の性格を理解せずに、人を一概に皆同じと論じていると良い機会を失いやすくなります。

性格はまずその人の家族や家庭の影響が源にあります。
例えば私の友人には相手を選ぶ時に学歴を気にして、高学歴の人の方が教養があると思っている人がいます。しかし実際に高学歴の人と会ってみると、多くの高学歴の人が基本的な礼儀作法や礼節を分かっておらず、教養があるとはいささか言い難い事に気付きました。

家庭によっては子供のマナーや話し方に深い注意を向け、幼少期から厳しく躾けをし、時間をかけて子供にそうした礼儀のある習慣を身に付けさせる親もいます。 しかし、そもそも親自身の言動が粗暴で口喧嘩が多く、口汚かったり暴力的な手を使ってしまう家庭もあります。 そのような環境で育った子供は、そうした粗暴な言動や行動を無礼なものなのだとは中々認識しずらく、それ故に博士号を取得した後も、礼節のある態度を取るのが難しいのです。 上海の復旦大学に留学していたとある友人は、博士学生用の校舎でよく博士学生が唾を吐いたりポイ捨てしているのを見たと言います。

また別の例に、経済的に恵まれた家庭で育った子供は金銭に対する感覚が薄く、計算してやり繰りする気もなく、非常に金遣いが荒い傾向にあるというのがあります。お金を稼ぐ事に興味を抱いていない限り、働く事に対しても非常にやる気がありません。

しかし、貧しい家庭に育った子供達は幼い頃からお金が無い事による大変さを経験してきたため、基本的にはお金の稼ぎ方や貯め方をきちんと知っています。社会で戦っていく上での苦労や葛藤も恐れません。彼らのより良い生活を目指したい、今の暮らしを改変したいという望みや気持ちは、裕福な家庭で育った子供のそれよりも遥かに大きいのです。

個人の性格を形作っているもう一つの要素は人生経験です。 人は皆、それぞれ違った人生経験をしており、その気になれば誰でもその人だけの自伝を書けます。人生経験は人の性格や考え方、判断力などを洗練させると同時に反映するものでもあります。

例えば成長していく過程で常に過保護、そして過度に世話をされて育つ人もいます。両親や社会的地位のある保護者にそう育てられた子はあまり自立した思考力がなく、自信がない傾向にあるため決断を下すときに不安になりがちで、常にアドバイスを求めてしまうことが多いです。

また、以前の交際や結婚生活で数多くの挫折や打撃を受けた事で、新しい相手と交際する時、常に動悸で心が落ち着かない人もいるでしょう。特に以前付き合っていた相手が経済的に豊かだった人は、財産分与の経験が中々忘れがたいでしょう。

こうした理由から、そうした人達はお付き合いをしている時は豪勢な食事やプレゼント、花束などを受け入れられても、いざ結婚を決めるとなるとかなり躊躇してしまうのです。そうした人達との交際は長期的なものになると覚悟しなければならず、相手の言いたい事や立場を圧迫するようなアプローチでは、ただ相手を望む方向とは反対側に追い込むだけになるので注意が必要です。

自分にそこまでの忍耐力がないと思う場合、最も現実的な方法はそうした相手のそれまでの人生や経験、悩みを理解してあげ、新たな目標を設定する事です。他にも、自分が経済的に自立していることを行動で示すのも良いでしょう。

まとめると、相手の経験を知ることで私達は理解力や判断力をより高める事ができ、恋愛関係においてのリードを取る事ができるのです。

次のコラムでは、性格が人にもたらすユニーク性についてお話しようと思います。

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